急性咽頭炎・扁桃炎

急性咽頭炎・扁桃炎とウイルス

 上気道感染症や感冒に伴う咽頭痛の多くはウイルス性と考えられていますが、その後に続く発熱と強い咽頭痛を伴う急性咽頭炎・扁桃炎では細菌感染の占める割合が多くなります。欧米では急性咽頭炎・扁桃炎の多くはウイルス性と考えられていて、対症療法(抗生剤を使わない治療)により自然治癒すると考えられている一方、急性咽頭炎・扁桃炎患者の約75%に抗生剤治療がなされているなど、急性咽頭炎・扁桃炎に対する最適な治療について議論が多くあります。

 成人急性咽頭炎・扁桃炎より分離されるウイルスとしては、アデノウィルス、インフルエンザウイルス、RSウイルス、ヒトメタニューモウイルスなどがあげられますが、成人急性咽頭炎・扁桃炎においてPCR法という方法でウイルス検索を行った結果では、62.1%では細菌のみが検出されており、ウイルスのみが検出されたのは3.4%、細菌とウイルスが検出されたのは11.2%であり、主要なウイルスの陽性率は10%以下でした。一方、小児の急性咽頭炎・扁桃炎については、ウイルスが42%、A群β溶連菌が31%で検出されており、ウイルスとしてはアデノウィルス、EBウイルス、エンテロウイルス(コクサッキ―ウイルス、エコーウイルス)、ヘルペスウイルスなどがあげられます。